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秋の野が キラッと 光っていた
秋の陽の かたまりが そこにあった
もう冬が近づいているぬくもりだ
道を歩いている時
すれ違った女が ふりむいて 何も言わないで去った
冬の近い陽の中で 後姿のヒップが 美しかった

陽のかたまりに遊ぶ

犬になりたい

ころぶことは いいことだ
ころんで 大地に顔をつけることは いいことだ
大地に鼻をくっつけて 鼻を泥まみれにしたい
土の道を知っている 野の香りも知っている僕だから
僕は犬になりたいのだ